和太鼓・鼓

勇壮な響きが大地を揺るがす『大太鼓』、
厳かな中に研ぎ澄まされた音色が鳴り渡る『鼓』

『太鼓』、つまり動物の皮を張りその皮を撥などで打つことで音を出す打楽器の総称ですが、その厳密な分類は難しいとされています。
おおまかにその構造で分類するのならば、まず枠に皮を1枚だけ張った『団扇太鼓』の類。そして2枚の皮を枠の両側に張り、双方に紐を回して締め上げて張りをもたせた『締太鼓』。そして胴に皮を張り、その端を鋲で止めた『鋲打太鼓』に大別できる。
さらに『締太鼓』は皮を枠に張らずに、直接張って締め上げる『桶胴太鼓』の類と、枠に張ってから、短めの胴にその枠ごと締め上げる『猿楽太鼓』の類、胴の長い『羯鼓(かっこ)』の類、そしてその短い胴の形状がくびれた『小鼓(こつづみ)』の類があります。
一方『鋲打太鼓』も胴の短いものが雅楽で使われる『釣太鼓』、そして胴の長いのがもっともなじみの深い『大太鼓(長胴太鼓)』である。

構造による種別は以上であるが、ほとんど同じ構造をもった太鼓でも、その用いられる状況によって呼称が変わってくる。たとえば前出の『釣太鼓』、雅楽においては『楽太鼓』と呼ばれることが多いが、この太鼓を吊るさず台において歌舞伎囃子などで用いれば『平太鼓』となる。『長胴太鼓』も神社での儀式で用いられれば『宮太鼓』となり、祭や盆踊りなどで用いられると『櫓(やぐら)太鼓』となる。

最近では胴材となる大木が入手困難になったため樽のような構造をした『長胴太鼓』や、紐の代わりにボルトで締め上げる『締太鼓』など、様々な創意工夫が凝らされた太鼓も登場しています。

最後に、太鼓ではないのですが、同じ打楽器ということで。
『当り鉦(あたりかね)』は雅楽や仏教儀式に用いられる『鉦鼓(しょうこ)』から派生した楽器で、お囃子などで使用されます。その音色から『チャンチキ』などとも呼ばれています。

チャッパ』というのは歌舞伎黒御簾(くろみす)音楽でもちいられる楽器で『銅拍子(どびょうし)』の小型のものをさす場合が多い。仏教儀式で用いられる大型のものは『妙八』などと呼ばれる。
おなじみの『木魚』も立派な楽器であり、同じく歌舞伎の黒御簾音楽などで用いられる。このあたりを見ても和楽器と仏教とは密接な関係にあるといえる。