学校での和楽器教育

水道管として安価で販売されている塩化ビニールパイプを利用した、横笛づくりに挑戦。
学校教育
Classroom Report
 

(3) 「さくらさくら」をさらによくしよう

[一]「さくら変奏曲」を聴いて

「さくらさくら」をさらによくする意識を強く持たせるために、授業の始めに「さくら変奏曲」を聴かせた。資料18から、生徒Aが音の重なりや変化を掴んでいることが伺える。また下線部分からは、旋律以外の音の動きを感じ取っていることもわかる。

<資料18>生徒Aの「さくら変奏曲」の感想

 

[二]「さらし」を使った創作表現活動

<資料19>

そんな生徒Aの感想を取り上げながら「さらし」について説明した。「さくらさくら」にあうさらしをグループで作ることにした。生徒Aのグループは、すぐに前時に行った弦2弦1の繰り返しをさらしにしていた。資料19の会話からもう少し工夫したい気持ちがあるが、今ひとつ思い浮かばない様子が見て取れた。

そこで、古曲「小さらし」を聴かせ、新しい発想を生み出せるようにした。この曲は同じ音型の繰り返しが旋律と重なって演奏される。高さの変化はあるが常に一定のリズムパターンを持って進行している曲である。

<資料20>

<資料21>

さらしを聴いた後、生徒Aは資料21の様なさらしを創作した。
さらにグリッサンドを多用した合いの手と伸ばす音を揺らす押し手を使い(資料22)、発表会に臨んだ。

 

<資料22>

[三]発表会「さくらさくら」+飾り+さらし

第2回目の発表会ということで、発表に余裕が見られるようになった。演奏のおもしろさを聴き取る楽しみやそれを次に使ってみようという意欲が、資料23の生徒Bの感想発表に表れてきている。

<資料23>

また、生徒Aのグループは発表を終え、みんなから「おー」という歓声と拍手を受けた。資料24から多くの生徒が生徒Aのグループの演奏の内容に良さを見い出していることが読み取れる。

<資料24>

生徒Aは、資料25の様に各班の演奏の感想と授業感想を書いている。自分たちの演奏にまだまだ満足せず、工夫の可能性を見いだしている様子が伺える。

<資料25>生徒Aの授業感想

一方生徒Bは、飾りやさらしの効果について次のように授業感想で述べている。ここからは、生徒Bが筝の音楽が醸し出す雰囲気を感じ取っていることがわかる。創作表現活動によって研ぎ澄まされてきた感性であると考える。

<資料26>生徒Bの授業感想

「さくらさくら」の表現を高めることを十分に楽しんだ生徒達は、次への意欲を持ち始めた。「他の曲でもやってみたい」「もっともっと筝の授業がしたい」という生徒の言葉は、筝の魅力に引きつけられ、新たなる創作表現活動の展開を期待している声として受け取れる。

(4) お話を作って筝で表現をしよう

[一]「せせらぎ」を聴いて

「せせらぎ」という曲は、川が山中で湧き水から始まり、だんだん大きな川になっていく様子を表現している。まさに川の一生を表現した曲である。様々な奏法が組み合わされており、一つ一つの音色が水の一滴を表しているかのような印象を受ける。現代曲の奏法に堪能な方を招き、「せせらぎ」を生徒の前で演奏していただいた。生徒達はひたむきなエネルギーあふれる演奏に感動した。生徒は水の流れを感じ取ることができた。また自分たちの演奏と比べ、音色の美しさや演奏者のテクニックについて感想を述べている。生徒Bの書いた技の工夫がすごいという言葉には「せせらぎ」への感動が表れている。

<資料27>

[二]お話を音楽で活動する活動

最初は、戸惑いが見られ、お話作りになかなか入れなかった。そこで、資料28が示す3年生の創った作品を聴かせ、空想の世界や身近な素材で作ることができることを知らせた。

<資料28>

録音された3年生の演奏を聴くと、その発想のおもしろさからか笑い声が漏れ、創作の楽しさを感じたようだ。
Aグループはテーマ(資料29)を決めると早速創作にかかった。前回のゴジラさらしに使った演奏の印象が強かったようで、恐怖を含めて大きな怪獣の様子を表したいと思い、テーマを決めたと言っている。

<資料29>

創作中の授業記録(資料30)からは、自分のイメージを試しながら、自分達独自のものを作り出そうとする姿勢が見られる。仲間とともに創造して行く力強い姿であると言える。生徒Aはグループのプランに、「できるのかな?」と不安を感じている。しかし、試しながら作っていこうと言う前向きな姿が見られた。創作表現活動を通じて、試すことは、生徒Aにとって自信になることが、生徒A自身にわかってきたと考えられる。

<資料30>

<資料32>

<資料33>

資料33の授業記録から、生徒Bは、自分の考えをグループの子に伝えてみようという強い姿が見られた。このことは、自分の思いを人に伝えることが苦手なこれまでの生徒Bにはなかったことである。
またグループの生徒の話をよく聴く柔軟な姿勢や、それを吟味し自分の考えを伝える様子が見られた。速さや強さにまでこだわってより良い音楽表現をしようという姿勢が伝わり、グループの活動に高まりをもたらしたと考える。

[三]発表会
生徒Aのグループは、演奏の計画がまとまらず、途中までの発表になってしまった。「せせらぎ」の演奏を模倣して取り入れようとして時間がかかり過ぎてしまったと言っている。

<資料34>
生徒Aのグループの楽譜

資料34からは、恐怖の瞬間がやってくる雰囲気を表そうとしていることやゴジラの足音が近づいている様子がよくわかる。
生徒Aは小鳥をテーマにした生徒Bのグループの演奏を聴き、小鳥のはばたいている映像が目に浮かんだと言っている。演奏者が伝えたい様子を聴き取る聴き方ができている。

<資料35>生徒Bの各グループの発表を聴いた感想

資料35から、生徒Bも他のグループの演奏を聴き、各グループの表現しようとしている思いや事象を聴き取るようになったと考える。音の重なりや強弱の工夫が音楽を深めていることに気付いている。また、音色の違いを楽しめている姿も読み取れる。

<資料36>生徒Bのグループの楽譜

演奏発表では、目で合図をして音を入れるタイミングを計っており、即興演奏らしさが出ていた。後半は弦1から弦巾までの音をゆっくり弾き、小鳥が羽ばたくまでの瞬間をスローモーションで表したようである。また、最後の速いグリッサンド二つは、飛び立った音だと言っている(資料36)。良い演奏を発表しようと何度も試した結果が、豊かな表現につながってきている。

 
 



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