学校での和楽器教育

水道管として安価で販売されている塩化ビニールパイプを利用した、横笛づくりに挑戦。
学校教育
teacher's report
 

3.研究の実際

(1) 「さくらさくら」を弾こう

[一]筝との出会い

音楽室に来たとたん、生徒達は13面の筝を見て歓声を上げた。「すごい、これは本物?」という声も聞こえてきた。すぐにでも触って見たい気持ちが見て取れた。筝の学習を始めることを告げ、「弾いてもいいよ」の一言で、生徒達はおもちゃでも扱うかのように弾きだした。「どんな音の出し方をしても良い」と言うと、どんどん弾きだした。平調子の調弦した筝の音色に包まれながら、どの子も音を出すことに夢中になっていった。グループに1セットの爪を与え、「いろいろな音色を見つけよう」と投げかけ、音の出し方を探す取り組みを行った。生徒達は様々な発想で音を見つけ、自分流の唱歌で書き表している。

<資料8>

1.箏を弾き、いろいろな音色を見つけよう
例)しゃしゃてん、ころりん

[二]演奏できる実感を味わう

筝の爪の付け方、姿勢、筝の各部の名前などを学んだ後、良い音を覚え筝の響きを体感するためにメソッドに取り組んだ。最初は、思うように音が出ず困っていたが、繰り返し練習を重ねることで、拍に合わせてしっかりした音が出るようになった。また、親指の向きや指と弦との角度等、望ましい弾き方について生徒の写真を使ってアドバイスした。そして、実際に生徒の目の前で音を弾いて聴かせることで、弾くときの力の入れ具合や、良い音のイメージを持たせるようにした。筝にだんだん慣れてくると、探り弾きを始めた。曲を弾いてみたい気持ちが高まってきたようだ。

そこで、「さくらさくら」の楽譜を与え、演奏を試みた。生徒一人一人がいつも練習の輪の中にいることができるように、筝を弾く生徒、数譜を唱える生徒、弦を指す生徒の3役を分担し、練習に取り組んだ。

「できた!」「○○、がんばれよ」等、声が飛ぶ中励まし合って練習することができた。授業感想から「さくらさくら」が弾けるようになったことで、次の授業を楽しみにする生徒Bの様子が読み取れる

<資料10>

(2) 「さくらさくら」を飾ろう

[一]筝の音色っておもしろい

筝の奏法に関心を持たせ、演奏につなげるために、「六段の調」を聴いた。

<資料11>

<資料12>

資料11の授業記録から響きの変化を聴き取る様子が伺える。生徒Aと生徒5の感想からは奏法への関心が芽生えていることがわかる。
その後、筝の奏法の体験をした。音色の雰囲気をつかむための唱歌についての話をした。各奏法の音色を自分流の唱歌で書き取っていった(資料12)。
生徒Aをはじめ音色の様子に耳を傾けている生徒のために、音色への関心を「さくらさくら」を飾る方向に向けさせることにした。「合いの手」と「かざり」を使って、「さくらさくら」を飾り、もっと良いものにしようと投げかけた。

[二]「さくらさくら」を飾ろう

10分間という短い時間の中で、創作活動に取り組んだ。合いの手とかざりは、ともすると旋律をすこし変化をもたらすだけに留まってしまう。そこで爪を使わないピチカートは、音の重なり合いを期待できると考えてアドバイスした。生徒Bは旋律に合いそうな音を探し出し、合わせて演奏しようとグループに持ちかげている。より良い演奏にしようという表れである。

旋律にあいそうなグリッサンドを合いの手として使ったり、その強さや入れる場所を工夫することができた。

<資料13>

 

また、資料13から、押し手の長さによる音色の変化に興味を持ち、押す強さや速さを工夫する等、変化の質にまでこだわっていたと分析できる。生徒Bは試しながら音を選ぶ姿をみせ、音色の変化をよく味わい吟味していたと言える。普段は消極的な生徒Bno姿とは全く違い、終始楽しそうに他のメンバーと話しながら進めていた。生徒Bはその日の生活日記にこの授業の事を書いている(資料15)。筝に夢中になっている様子が表れている。

<資料14>生徒Bのグループの楽譜

<資料15>生徒Bの生活日記

[三]発表会「さくらさくら」+飾り+合いの手

発表会中も他のグループによい工夫があれば、自分たちもやってみようという前向きな気持ちが出てきた。生徒Bのグループの演奏の良さは他のグループにもどんどん吸収されていった。弦2と弦1を使ったピチカートする飾りは、すぐにできることもあってか、学習プリントへ書き込みはなかったが、何グループも取り組んでいる。

<資料17>生徒Bの授業感想

資料17からは、興味深く他のグループの工夫を聴き取っている姿が伺える。

 
 



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