学校での和楽器教育

水道管として安価で販売されている塩化ビニールパイプを利用した、横笛づくりに挑戦。
学校教育
Teacher's Report
 
豊かな感性を持ち、生き生きと表現する生徒の育成

平成14年度より始まりました中学校での和楽器教育は、指導される音楽担当の先生方にとっても、手探りの状態でのスタートとなりました。しかしその一方で、生徒達のレディネス(学習する際の基礎条件、知識・経験等)がほぼ均しく0であることを活かして、音楽を見直す機会として画期的な取り組みをなされた、市立中学校のO先生のレポートをご紹介させていただきます。

教科・領域 音楽
市立中学校 音楽教員 O先生
 
 

Gakushu-Shidou Youkou
 

文部科省のサイトに2008年7月公示された小・中学校の学習指導要領解説から興味深い部分を抜粋してみました。ご参照下さい。

 

小学校学習指導要領解説
音楽編

第1章 総説

 

2 音楽科改訂の基本方針

(・)改善の具体的事項

○ 音楽のよさを感じ取り,思いや意図をもって表現したり音楽全体を味わって鑑賞
したりする力の育成や,音楽文化を理解し,豊かな情操を養うことを重視し,次の
ような改善を図る。

(エ) 唱歌や民謡,郷土に伝わるうたについて,さらに取り上げられるようにすると
ともに,歌唱共通教材の扱いについて充実を図る。鑑賞教材の選択の観点につい
ては,現行で高学年で位置付けられている我が国の音楽について中学年でも取り
扱うなどの改善を図る。

第3章各学年の目標及び内容

第3節第5学年及び第6学年の目標と内容

1 目標

(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を高め,音楽を味わって聴くようにする。

(3) は,様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を高め,音楽を味わって聴くようにすることについて示したものである。「鑑賞の能力」とは,音楽を聴いて,音楽を形づくっている要素のかかわり合いや,それによって醸し出される曲想を感じ取る能力のことである。ここでは,中学年までに身に付けた能力を基にして,児童の発達に応じて,これらの能力を確実に高めることを意味している。高学年の児童は,自分の感じたことや考えたことを友達同士で伝え合うことを通して,音楽がそれぞれもつよさや面白さ,美しさを深く感じ取れるようになる。そこで,楽曲の構造に意識を向けた鑑賞活動を進める中で,楽曲の特徴や演奏のよさ,美しさについて感じ取ったことを,言葉や体の動き,音楽などで表して,いろいろな感じ方があることを理解するようにすることが重要となる。
「様々な音楽に親しむ」とは,鑑賞活動を通して,我が国や諸外国で人々に長く親しまれてきた楽曲など,いろいろな種類の音楽と出会うようにすることである。そのため,音楽を形づくっている要素の働きや,声や音の響き合いを感じ取りやすい楽曲など,教材の選択を工夫することによって,聴く喜びを深めるようにすることが大切である。
音楽鑑賞は,本来,音楽の全体にわたる美しさを享受することである。そのためには楽曲の一部に焦点を当てた指導や,音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みを聴き分ける指導にとどまるのではなく,音楽の全体の流れに浸りながら,曲想をじっくりと味わうことができるような指導を行うことが重要となる。児童が,自分の感じ方を大切にしながら,音楽を深く味わって聴くような指導が求められる。

 

2 内容
A 表現

ウ楽器の特徴を生かして旋律楽器及び打楽器を演奏すること。
この事項は,楽曲に合った表現の能力を育成するために,楽器の特徴を生かして旋律楽器及び打楽器を演奏する内容を示したものである。
「楽器の特徴」とは,楽器のもつ固有の音色や音域,楽器の演奏の仕方による表現の多様さを表している。したがって,「楽器の特徴を生かして」とは,演奏する楽曲の音楽的な特徴にふさわしい楽器の演奏の仕方を工夫することを示している。
高学年で取り上げる楽器については,「第3指導計画の作成と内容の取扱い」2(4)に,「エ第5学年及び第6学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,電子楽器,和楽器,諸外国に伝わる楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること」,「ア各学年で取り上げる打楽器は,木琴,鉄琴,和楽器,諸外国に伝わる様々な楽器を含めて,演奏の効果,学校や児童の実態を考慮して選択すること」と示している。

(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。
この項目は,歌唱教材と器楽教材を選択する場合の観点及び歌唱共通教材について示したものである。
ア主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材の中の3曲を含めて,斉唱及び合唱で歌う楽曲
イ主となる器楽教材については,楽器の演奏効果を考慮し,簡単な重奏や合奏にした楽曲
ウ共通教材
〔第5学年〕
「こいのぼり」(文部省唱歌)
「子もり歌」(日本古謡)
「スキーの歌」(文部省唱歌)林柳波作詞橋本国彦作曲
「冬げしき」(文部省唱歌)
〔第6学年〕
「越天楽今様(歌詞は第2節まで)」(日本古謡)慈鎮和尚作歌
「おぼろ月夜」(文部省唱歌)高野辰之作詞岡野貞一作曲
「ふるさと」(文部省唱歌)高野辰之作詞岡野貞一作曲
「われは海の子(歌詞は第3節まで)」(文部省唱歌)

 

第4章 指導計画の作成と内容の取扱い要である。

2 内容の取扱いと指導上の留意点

第2の内容の取扱いについては,次の事項について配慮するものとする。

(4) 各学年の「A表現」の(2) の楽器については,次のとおり取り扱うこと。

エ第5学年及び第6学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,電子楽器,和楽器,諸外国に伝わる楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。

ここでは,第4学年までに取り扱ってきた楽器を含めるとともに,各種の電子楽器,和楽器,管楽器,弦楽器など諸外国に伝わる様々な楽器の中から,児童が興味・関心をもち,豊かな器楽の表現を楽しむことができるものを,学校や児童の実態に応じて選ぶようにすることが大切である。

(5) 音楽づくりの指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア音遊びや即興的な表現では,リズムや旋律を模倣したり,身近なものから多様な音を探したりして,音楽づくりのための様々な発想ができるように指導すること。
イつくった音楽の記譜の仕方について,必要に応じて指導すること。
拍節的でないリズム我が国の音楽に使われている音階や調性にとらわれない音階などを児童の実態に応じて取り上げるようにすること

ウの事項は,児童の実態に応じて,多様な音楽から手がかりを得て音楽づくりをすることについて示したものである。
「拍節的でないリズム」とは,一定した拍や拍子感がないリズムのことである。例えば,日本の民謡や現代音楽の作品などに見られる。また,「我が国の音楽に使われている音階」とは,例えば,わらべうたや民謡などに見られる音階のことである。「調性にとらわれない音階」とは,長調や短調以外の音階のことで,諸外国の様々な音階や半音音階などである。

 

中学校学習指導要領解説
音楽編

第1章 総説

2 音楽科改訂の基本方針

(・)改善の基本方針

○ 国際社会に生きる日本人としての自覚の育成が求められる中,我が国や郷土の伝統音楽に対する理解を基盤として,我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を尊重する態度等を養う観点から,学校や学年の段階に応じ,我が国や郷土の伝統音楽の指導が一層充実して行われるようにする。


(・)改善の具体的事項

(エ) 我が国の伝統文化に関する学習を充実する観点から,和楽器については,簡単な曲の表現を通して,伝統音楽のよさを一層味わうことができるようにするとともに,我が国の伝統的な歌唱の指導も重視するようにする。
また,我が国の音楽文化に親しみ一層の愛着をもつ観点から,我が国の自然や四季,文化,日本語のもつ美しさなどを味わうことのできる歌曲を更に取り上げるようにする。


3 音楽科改訂の要点

中学校学習指導要領の音楽科の主な改訂の要点は,次のとおりである。

(1) 目標の改善
「音楽文化についての理解を深め」ることを教科目標の中に規定した。音楽科では,例えば,曲種に応じた発声や和楽器で表現すること,音楽をその背景となる文化・歴史と関連付けて鑑賞することなど,生徒が音楽文化について理解を深めていくことにつながる学習が行われる。また,音によるコミュニケーションを基盤とする音楽活動は,本来,音楽文化そのものを対象にした学習と言える。今回の改訂では,こうした音楽科の性格を明らかにした。

(2) 内容の改善

ア 内容の構成の改善
従前と同様に「A表現」及び「B鑑賞」の二つの領域で構成しつつ,表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となる〔共通事項〕を新たに設けた。また,「A表現」については,歌唱,器楽,創作ごとに事項を示した。これらによって,指導のねらいや手立てが明確になるようにした。

イ 歌唱共通教材の提示
我が国のよき音楽文化を世代を越えて受け継がれるようにする観点から,「赤とんぼ」,「荒城の月」,「早春賦」,「夏の思い出」,「花」,「花の街」,「浜辺の歌」を歌唱共通教材として示し,各学年ごとに1曲以上を含めることとした。

我が国の伝統的な歌唱の充実
伝統や文化の教育を充実する観点から,「民謡,長唄などの我が国の伝統的なながうた歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるもの」を歌唱教材選定の観点として新たに示した。

和楽器を取り扱う趣旨の明確化
従前の「和楽器については,3学年間を通じて1種類以上の楽器を用いること」を踏襲しつつ,伝統や文化の教育を充実する観点から,「表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことができるよう工夫すること」を新たに示し,器楽の指導において和楽器を用いる趣旨を明らかにした。

オ 創作の指導内容の焦点化・明確化
創作の指導内容の焦点を絞り,具体的かつ明確にするため,事項アでは「言葉や音階などの特徴」を手掛かりにして「旋律をつくる」こと,事項イでは「音素材の特徴」を生かして「反復,変化,対照などの構成」を工夫してつくることとした。また,「創作の指導については,即興的に音を出しながら音のつながり方を試すなど,音を音楽へと構成していく体験を重視する」よう配慮することを新たに示した。

カ 鑑賞領域の改善
音楽科の学習の特質に即して言葉の活用を図る観点から,「言葉で説明する」,「根拠をもって批評する」などして音楽のよさや美しさを味わうこととし,音楽の構造などを根拠として述べつつ,感じ取ったことや考えたことなどを言葉を用いて表す主体的な活動を重視した。

キ 〔共通事項〕の新設
音楽を形づくっている様々な要素を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること,音楽に関する用語や記号などを音楽活動を通して理解することを〔共通事項〕として新たに示した。この〔共通事項〕は,表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫することとした。

ク その他
表現と鑑賞の各活動を通じて,「生徒が自己のイメージや思いを伝え合ったり,他者の意図に共感したりできるようにする」,「音環境への関心を高めたり,音や音楽が生活に果たす役割を考えさせたりする」,「音楽に関する知的財産権について,必要に応じて触れるようにする」などの配慮を行うこととした。また,音楽に関する用語や記号などについて,小学校学習指導要領に示す音符・休符・記号などに加えて取り扱うものを新たに示した。

第2章 音楽科の目標及び内容

第2節 音楽科の内容

2 各領域及び〔共通事項〕の内容

(1) 表現領域の内容

・ 音楽の素材としての音
音楽は音から成り,音楽表現は音を媒体とする。したがって,まず音について知ることが必要となる。音楽の素材としての音には,声や楽器の音のみならず,自然音や環境音など私たちを取り巻く様々な音も含まれる。
声については,一人一人の声は個性的で,多様な表現の可能性を秘めている。また,民族や時代,あるいは様式や曲種によって様々な表現方法があり,それぞれに応じた発声の仕方が用いられてきた。言語のもつ音質,発音やアクセントなどが,旋律やリズム,あるいは,曲の構成などに影響を与えている場合もある。したがって,一人一人の声の持ち味を生かし,曲種に応じた発声を工夫し,歌詞のもつ言語的特性などを大切にした表現活動を行うことが重要となる。
楽器については,材質,形状,発音原理,奏法などから様々に分類され,それぞれ特徴のある音をもっている。例えば,木,金属,革などの素材の違いにより,そこから生まれる楽器の音の特徴は異なってくる。したがって,様々な楽器がどのような発音原理や構造上の特徴をもっているかといった点を押さえ,それらを生かすことが大切となる。音楽の素材としての音の質感を,生徒が感性を働かせて感じ取ることは,表現活動において実際に音を発する際に,どのような音を出したいのか,どのような音がふさわしいのかといった意識をもつことにつながっていく。

(2) 鑑賞領域の内容

・ 音楽の背景となる風土や文化・歴史など前記・から・の背景となるものが,人間の生活の基盤である風土や文化・歴史,伝統といった環境であり,音楽はそれらの影響を受けて成立し,様々な特徴をもつことになる。また,歌舞伎,能楽,オペラ,バレエなどの総合芸術のように,演劇的要素,舞踊的要素,美術的要素などとのかかわりから成立しているものもある。音楽とその背景とのかかわりなどに目を向けることは,音楽をより深く聴き味わうことに結び付いていく。
このような観点から,我が国や郷土の伝統音楽,アジア地域の諸民族の音楽を含む諸外国の様々な音楽など多様な音楽に触れることは,人間の生活と音楽とのかかわりに関心をもって,生涯にわたり音楽文化に親しむ態度をはぐくむことになる。また,様々な音楽文化に触れ,その多様性を感じ取ったり理解したりすることは,音楽に対する価値観や視野の拡大を図ることになる。そして,それぞれの音楽のもつ固有性や


第3章 各学年の目標及び内容

(1) A 表現

(イ) 民謡,長唄などの我が国の伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるものここでは,民謡,長唄などの我が国の伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実ながうた態を考慮して,伝統的な声の特徴が感じられる歌唱教材を選択することを示している。「我が国の伝統的な歌唱」とは,我が国の各地域で歌い継がれている仕事歌や盆踊り歌などの民謡,歌舞伎における長唄,能楽における謡曲,文楽における義太夫節,ながうた三味線や箏などの楽器を伴う地歌・箏曲など,我が国や郷土の伝統音楽における歌唱を意味している。
教材の選択に当たっては,これらの民謡や長唄などの伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるものを選択していくことになる。「伝統的な声の特徴」には,例えば,発声の仕方や声の音色,コブシ,節回し,母音を延ばす産字などがあげられる。生徒が実際に歌う体験を通して,伝統的 な声の特徴を感じ取ることができるよう,地域や生徒の実態等を十分に考慮して適切な教材を選択することが重要である。
指導に当たっては,例えば,伝統的な声の「音色」や装飾的な節回しなどの「旋律」の特徴に焦点を当てて比較して聴いてみたり実際に声を出してみたりして,これらの特徴を生徒一人一人が感じ取り,伝統的な歌唱における声の特徴に興味・関心をもつことができるように工夫することが大切である。その際,視聴覚機器などを有効に活用したり,地域の指導者や演奏家とのティーム・ティーチングを行ったりすることもこうした学習活動を展開することにより,生徒は,自分たちの生活に根ざした民謡のよさに気付いたり,長唄などの我が国の伝統的な声のよさを感じ取ったりすること ができるとともに,我が国の音楽文化に対する理解を深めることにつながっていく。

(2) B 鑑賞

(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。

イ 音楽の特徴をその背景となる文化・歴史や他の芸術と関連付けて,鑑賞すること。

この事項は,音楽の特徴をその背景となる文化・歴史や他の芸術と関連付けて,鑑賞する能力を育てることをねらいとしている。今回の改訂では,従前の「音楽をその背景となる文化・歴史などとかかわらせて聴くこと」の趣旨を踏襲しつつ,「音楽」を「音楽の特徴」に,「文化・歴史など」を「文化・歴史や他の芸術」に,「聴くこと」を「鑑賞すること」にした。音楽は,その音楽の背景となる文化・歴史や他の芸術から直接間接に影響を受けており,それが音楽の特徴となって表れている。また,我が国や諸外国の多くの音楽に,文学,演劇,舞踊,美術などとのかかわりが見られることから,第1学年から「他の芸術」との関連も大切にすることとした。このような音楽の背景に目を向けることが,音楽を形づくっている要素や構造,曲想をとらえるために有効となる。
例えば尺八における音色,旋律,多様な奏法など,また,雅楽におけるリズム,速度,テクスチュア,構成などの特徴は,それらを生み出し,はぐくんできた人々や文化的・社会的背景などと切り離して考えることはできない。また,歌舞伎やオペラにおける音楽は,その物語の内容や進行などと一体となって,声や楽器の音色,速度,強弱の変化などが効果的に表現される。指導に当たっては,事項アと関連させて,生徒の興味・関心を引き出しながら,主体的に鑑賞することができるように工夫することが大切である。

ウ 我が国や郷土の伝統音楽及びアジア地域の諸民族の音楽の特徴から音楽の多様性を感じ取り,鑑賞すること。

この事項は,我が国や郷土の伝統音楽と,我が国と歴史的・地域的に関係が深いアジア地域の諸民族の音楽を取り扱い,それぞれの音楽の特徴から,音楽の多様性を感じ取って鑑賞する能力を育てることをねらいとしている。我が国や郷土の伝統音楽は,過去から現在に至るまでの人々の暮らしともかかわりながら大切に受け継がれてきた。その多くが,古くから中国や朝鮮半島などの音楽文化の影響も受けながら独自の発展を遂げ,明治以降の近代化の影響を経て,現在,様々な音楽として存在している。
また,我が国と歴史的・地域的に関係の深いアジア地域の国々にも,様々な音楽が存在しており,そのいずれもがそれぞれの国の音楽文化を支えているものである。この事項では,音楽の多様性をとらえるために,我が国や郷土の伝統音楽の特徴と,アジア地域の諸民族の音楽の特徴とを比較するなどして取り扱うことになる。また,それぞれの音楽について,歴史的・地域的な背景などとのかかわりから知ることも意味あることである。
指導に当たっては,事項アと関連させて,我が国や郷土の伝統音楽及びアジア地域の諸民族の音楽のそれぞれの特徴を比較して聴き,共通点や相違点,あるいはその音楽だけに見られる固有性などから,音楽の多様性を感じ取ることができるようにすることが大切である。

(2) 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切なものを取り扱う。

ここでは,第1学年で取り扱う鑑賞教材の範囲や観点を示している。今回の改訂では,「我が国や郷土の伝統音楽」を重視した。これは「我が国や郷土の伝統音楽」に対する理解を一層深め,我が国の音楽文化を尊重する態度を養うことをねらいとしているからである。具体的には,雅楽,能楽,琵琶楽,歌舞伎音楽,箏そう曲,三味線音楽,尺八音楽などや,各地域に伝承されている民謡や民俗芸能における音楽などがあげられる。
これらを含む我が国及び諸外国の様々な音楽は,過去から現在に至るまでの人々の暮らし,それぞれの地域の風土や文化・歴史などの影響を受け,社会の変化や文化の発展とともに生まれ,はぐくまれてきた。それらの中から,生徒の興味・関心,学習の実態などを十分に考慮して「指導のねらいに適切なもの」を選択することが重要である。

 

第4章指導計画の作成と内容の取扱い

2 内容の取扱いと指導上の留意点

第2の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 歌唱の指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア各学年の「A表現」の(4)のイの(ア)の歌唱教材については,以下の共通教材の中から各学年ごとに1曲以上を含めること。
「赤とんぼ」三木露風作詞山田耕筰作曲
みきろふうやまだこうさく
「荒城の月」土井晩翠作詞滝廉太郎作曲
どいばんすいたきれんたろう
「早春賦」吉丸一昌作詞中田章作曲
よしまるかずまさなかだあきら
「夏の思い出」江間章子作詞中田喜直作曲
えましょうこなかだよしなお
「花」武島羽衣作詞滝廉太郎作曲
たけしまはごろもたきれんたろう
「花の街」江間章子作詞團伊玖磨作曲
えましょうこだんいくま
「浜辺の歌」林古溪作詞成田為三作曲
はやしこけいなりたためぞう

(2) 器楽の指導については,指導上の必要に応じて和楽器,弦楽器,管楽器,打楽器,鍵盤楽器,電子楽器及び世界の諸民族の楽器を適宜用いること。なお, 和楽器の指導については,3学年間を通じて1種類以上の楽器の表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことができるよう工夫すること。

器楽指導で用いる楽器の扱いについて示している。器楽指導に当たっては,生徒の発達の段階や学校の実情などに応じて,様々な楽器をねらいに即して用いることによって,それぞれの楽器の特徴に気付かせることが大切である。世界の諸民族の楽器については,様々な地域の民族の楽器に触れることで,諸外国の文化に対する理解を更に深め,国際社会に生きる日本人の育成を図ることが大切なことから,指導上の必要に応じて適宜用いることを示している。箏,三味線,尺八,篠笛,太鼓,雅楽で用いられる楽器などの和楽器については, その指導を更に充実するため,中学校第1学年から第3学年までの間に1種類以上の和楽器を扱い,表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことができるように工夫することを示している。生徒が実際に演奏する活動を通して,音色や響き,奏法の特徴,表現力の豊かさや繊細さなどを感じ取ることは,我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことにつながっていくと考えられる。和楽器を用いるに当たっては,常に学校や生徒の実態に応じるとともに,可能な限り,郷土の伝統音楽を取り入れることが肝要である。なお,和楽器を表現活動における器楽の指導に用いることはもちろんであるが,歌唱や創作,鑑賞との関連も図りながら,実際に和楽器に触れ,体験することで,我が国や郷土の伝統音楽の学習効果を更に高めることが期待できる。生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさなどを味わい,我が国の音楽文化を尊重する態度を養うことが,和楽器を用いる本来の意義であり,

(3) 我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導については,言葉と音楽との関係,姿勢や身体の使い方についても配慮すること。

我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導については,言葉と音楽との関係,姿勢や身体の使い方についても配慮することを示している。言葉と音楽との関係においては,日本語に注目する必要がある。「あ」や「お」,あるいは「か」や「さ」などの音は,すでに固有の響きをもっており,それらが組み合わさって単語となり,言葉となって日本語特有の響きが生まれてくる。言葉のまとまり,リズム,抑揚,高低アクセント,発音及び音質といったものが直接的に作用し,旋律の動きやリズム,間,声の音色など,日本的な特徴をもった音楽を生み出す源と なっている。このことは,歌唱に限らない。唱歌に見られるように,楽器の演奏においても言葉の存在が音楽と深くかかわっている。
姿勢や身体の使い方においては,腰の位置をはじめとした姿勢や呼吸法などに十分な配慮が必要となる。例えば民謡は,その歌の背景となった生活や労働により強く性格付けられており,声の出し方や身体の動きなどに直接間接に表れている。長唄や地歌,箏や三味線などは,基本的に座って演奏することによって伝統的な音楽の世界が 現れてくる。また,篠笛や尺八の演奏をはじめ,声や楽器を合わせる際の息づかいや身体の構えが,旋律の特徴や間を生み出している。声を出す場合も,楽器を演奏する 場合も,それに適した身体の使い方が大切にされてきた。このように,我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導において,言葉と音楽との関係に注目し,姿勢や身体の使い方に配慮することは,我が国の伝統や文化を理解するための大切な基盤にもなっていく。

文部科学省のサイト
改訂された新学習指導要綱については上のリンクから文部科学省のサイトにてご確認下さい。

 
 

Gakushu-Shidou Youkou
 

文部科学省のサイトより、平成15年4月からの高校音楽(芸術の指導要領を転載させていただきました。特に興味深い点にアンダーラインをしてみましたので、ご参考になさってください。


第7節  芸    術

第1款  目    標


  芸術の幅広い活動を通して, 生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,芸術の諸能力を伸ばし,豊かな情操を養う。

第2款  各  科  目


第1  音楽I

1  目      標
  音楽の幅広い活動を通して,音楽を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばす。

2  内      容
A  表現
  表現に関して,次の事項を指導する。
(1)  歌唱
  ア  曲種に応じた発声の工夫
  イ  視唱力の伸長
  ウ  歌詞及び曲想の把握と表現の工夫
  エ  合唱における表現の工夫
(2)  器楽
  ア  いろいろな楽器の体験と奏法の工夫
  イ  視奏力の伸長
  ウ  曲の構成及び曲想の把握と表現の工夫
  エ  合奏における表現の工夫
(3)  創作
  ア  いろいろな音階による旋律の創作
  イ  旋律に対する和音の工夫
  ウ  音楽の組み立て方の把握
  エ  いろいろな音素材を生かした即興的表現
B  鑑賞
  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
  ア  声や楽器の特性と表現上の効果
  イ  楽曲の歴史的背景
  ウ  我が国の伝統音楽の種類と特徴
  エ  世界の諸民族の音楽の種類と特徴

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては,中学校音楽との関連を十分に考慮し,それぞれ特定の活動のみに偏らないようにするとともに,相互の関連を図るものとする。また,Aについては,生徒の特性や学校の実態を考慮し,表現方法や表現形態を適宜選択して扱うことができる。
(2)  音楽についての総合的な理解を深め,主体的な学習態度を育てるため,適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。
(3)  内容のA及びBの教材については,地域や学校の実態を考慮し,郷土の伝統音楽を含めて扱うよう配慮するものとする。
(4)  内容のAの(1)のア及び(2)のアについては,我が国の伝統的な歌唱及び和楽器を含めて扱うようにする。
(5)  内容のAの(1)のイ及び(2)のイについては,単なる技術の練習に偏ることなく,他の事項との関連において総合的に扱うよう配慮するものとする。
(6)  内容のBのウについては,主として箏曲,三味線音楽(歌い物),尺八音楽などを扱うようにする。
(7)  内容のBのエについては,アジア地域の諸民族の音楽を含めて扱うようにする。

第2  音楽II

1  目      標
  音楽の諸活動を通して,音楽を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,音楽文化についての理解を深め,個性豊かな表現の能力と主体的な鑑賞の能力を伸ばす。

2  内      容
A  表現
  表現に関して,次の事項を指導する。
(1)  歌唱
  ア  声域の拡張と曲種に応じた豊かな発声
  イ  視唱力の充実
  ウ  歌詞及び曲想の理解と個性豊かな表現
  エ  重唱・合唱における豊かな表現
(2)  器楽
  ア  楽器に応じた奏法の習熟
  イ  視奏力の充実
  ウ  曲の構成及び曲想の把握と個性豊かな表現
  エ  重奏・合奏における豊かな表現
(3)  創作
  ア  歌詞の内容を生かした声楽曲の創作
  イ  楽器の特性を生かした器楽曲の創作
  ウ  編曲に関する基礎的知識の理解
  エ  いろいろな音素材を生かした創作
B  鑑賞
  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
  ア  楽曲の構造
  イ  音楽の歴史的背景
  ウ  文化的背景に基づく我が国の伝統音楽の特徴
  エ  文化的背景に基づく世界の諸民族の音楽の特徴

3  内容の取扱い
(1)  内容のA及びBの指導に当たっては,相互の関連を図るものとする。また,Aについては,生徒の特性や学校の実態を考慮し,(1),(2)又は(3)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2)  内容の取扱いに当たっては,「音楽I」の3の(2)から(5)まで及び(7)と同様に取り扱うものとする。
(3)  内容のBのウについては,主として三味線音楽(語り物),能楽,琵琶楽などを扱うようにする。

第3  音楽III

1  目      標
  音楽の諸活動を通して,生涯にわたり音楽を愛好する心情と音楽文化を尊重する態度を育てるとともに,感性を磨き,個性豊かな音楽の能力を高める。

2  内      容
A  表現
  表現に関して,次の事項を指導する。
(1)  歌唱
  ア  表現内容に応じた個性豊かな発声の工夫
  イ  歌詞及び曲想を生かした個性的,創造的な表現
  ウ  独唱・重唱・合唱における充実した表現
(2)  器楽
  ア  表現内容に応じた個性豊かな奏法の工夫
  イ  曲の構成及び曲想を生かした創造的な表現
  ウ  独奏・重奏・合奏における充実した表現
(3)  創作
  ア  いろいろな様式や演奏形態による楽曲の創作
  イ  個性的な表現を生かした自由な創作
B  鑑賞
  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
  ア  音楽の美しさと構造とのかかわり
  イ  音楽と他の芸術とのかかわり
  ウ  音楽と社会及び文化などとのかかわり
  エ  現代の我が国と世界の音楽

3  内容の取扱い
(1)  生徒の特性や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2),(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2)  内容の取扱いに当たっては,「音楽I」の3の(2)及び(3)と同様に取り扱うものとする。
(3)  内容のBについては,我が国の伝統音楽及び世界の諸民族の音楽を含めて扱うようにする。アについては,音楽に対するイメ−ジや感情を表現する能力の育成にも配慮するものとする。

文部科学省のサイト
その他の教育機関の学習指導要綱やQ&Aなどが掲載されています。

 
 

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